小仏城山(こぼとけしろやま)高尾の奥の扉を開けよう

標高は670mとなる小仏城山。建物にすると220階に相当する高さとなります。高尾山を日帰りでハイキングできれば小仏城山も挑戦しやすい山になっています。

小仏城山は高尾山の西側に隣接した山になり、高尾山の頂上から尾根を歩いて小仏城山へ縦走することができます。今回はケーブルカーを使わずに京王線の高尾山口駅改札から高尾山の頂上を目指し、そこから隣の小仏城山を目指しました。

小仏城山の西側には景信山という山も隣接しています。更に、景信山の西に陣馬山が隣接するため、高尾山から陣馬山まで縦走できるように尾根のコースが管理されています。そのコースは「関東ふれあいの道」という名前がつけられています。

地図を見ていただくと分かると思いますが、高尾山は登山客や参拝客を含め、たくさんの観光客が集まるため、たくさんのコースが管理されています。標高が低くても「また行ってみようか」という想いが出やすい山になっています。

今回のハイキングに参加して頂いた方々は、登山を始めて2回目になりました。登山の基本的なグッズが揃い、山への興味が高まってきています。そういった方へお勧めしたいルートは、稲荷山コース。地図を見ていただくと、ピンクの線で登るルートになります。グレーの線で登るルートは薬王院へ繋がるコンクリートの1号路です。

稲荷山コースの特徴は、地面が土で木の根が多く飛び出ています。急角度の場所でいつもよりペースを上げると滑りやすくなることや、よそ見をし過ぎると転倒してしまう危険性が出てきます。しかし、全体的に他の山と比較してコースが十分に管理されているため、汗をかきながら『キツイ…。』と言っても、お互いの表情や言葉を交わし合い笑顔で登れる山です。

この日は8月の猛暑日。午前中から30℃を越えていました。頂上までの中間地点となる展望台で長い休憩をとりました。じつは、ここが「稲荷山」と言われる場所です。高尾山口駅の標高は192mに対して稲荷山は396mになるため、ここまで204mの高さを上がってきたことになります。東京都の赤坂インターシティAIRや東京モード学園というビルはご存知でしょうか?もし近くに見えた方は、200mの高さから登山という面白さが分かってくるかもしれません。ビルを見てから富士山が何メートルだったかをもう一度思い出してみて下さい。

レベルの高いスポーツは達成感や楽しみを得るまでに努力を必要とするため、なかなか趣味として継続するのが難しくなります。登山では、人間の身体能力のすごさに気づかされます。たとえば、隣の駅や仕事先へウォーキングやランニングすることを考えると長い距離に感じてしまいます。しかし、登山はそのくらいの距離を登ったり降りたりしながら歩きます。登山をした後に自分たちが歩いた経路をgoogleマップで見ると、普段は電車や自動車で移動する距離を自分の足で移動していたことがしっかりと確認できます。

途中で6号路というコースへ移ることもできます。上の地図では緑色の線で登るルートになっています。6号路は稲荷山と高尾山に流れる渓流に沿って頂上へ向かうルートです。メリットは稲荷山ルートよりも低くなっているため、午前中の太陽をそれほど浴びずに緩やかに登ってくることができるコースになっています。春は稲荷山ルートの方が早くあたたかさを感じられます。

しばらく6号路を進むと、黄色い線の5号路に合流します。どちらが頂上か分かりにくい案内標示になっていますが、そういうときは周りにいる複数の登山者に聞いてみるといいかもしれません。逆に、自分が聞かれたときに説明できる自信がない場合は「わかりません」としっかり答えることも登山のマナーになっています。

約2時間で頂上へ到着。頂上は青空が広がっていました。写真に写っている向側の山は丹沢連峰です。頂上には新設されたトイレや飲める水が管理されています。夏の登山はどうしても水分補給量が増えてしまいますが、高尾山はそれを惜しまずにここで水を補給することができます。ここは東京都水道局の水を引き上げていますが、たくさん汗をかくと湧水を飲んでいるかのように美味しく感じます。

高尾山の頂上からはピンク色のコースで小仏城山へ向かいました。頂上から長い階段で降りた後、山と山を繋ぐ尾根を歩いていきます。途中で休憩できるようにベンチやトイレが置かれています。緩やかな角度で登り降りを繰り返していきます。

登山道は階段状に整備されていますが、段差が疲れる時は坂になっている方を使うと楽になります。とくに降りる場合は足にかかる負荷が大きくなるため、段差よりも坂を選ぶ方が痛くないと言われています。

高尾山の頂上から一丁平までは約1時間。一丁平の良さは広くてテーブルやベンチがたくさん設置されているため、山の頂上で休憩するのとは違った気持ち良さがあります。

一丁平は風通しがいいため、夏の昼間でも日陰で涼しい気分に戻ることができます。冬は遭難や滑落・雪崩の事故が起きやすくなりますが、夏の怖さは誰もが知っている熱中症です。休憩時にしっかりと水分や栄養を補給し、体温を冷ましておくことで登山の楽しさが変わってきます。夏はどうしても「ゴールまだかよ…」と思いやすいのは、身体が熱中症と闘っていることを理解しましょう。

全ての休憩を含めて小仏城山の頂上には4.5時間で到着しました。12時にお昼休憩を一丁平でとるためには、高尾山口駅を9時にスタートすることが目安となります。そこで1時間の休憩をとり、30分だけ歩けば小仏城山の頂上へ到着できます。小仏城山の頂上でもトイレやベンチ、テーブルが設置されています。また、屋台があるためカップラーメンやビール、かき氷など、十分な休憩をとることができます。

ここからは、景信山と陣馬山の方へ標高を上げながら進むことができます。とても長い距離になるため、早朝のスタートを計画しておかなければゴールまでに太陽が沈んでしまいます。また、体力的に自信がない場合、陣馬山の方から高尾山の方へ降りてくることで登山時間を少し短縮することもできます。

今回は小仏城山から日影沢林道というコンクリートの経路でバス停まで下山していきました。このルートは小仏城山の屋台へ食料を運搬するための道路になっています。旧甲州街道から分かれている道路で、途中まで自動車で登ることもできますが門で閉鎖されているため頂上まで進入することはできません。

林道の脇から湧水が流れ出ていました。夏でも水が冷たいため、顔や腕を洗うことで気分が爽快になりました。

小仏城山から1時間ほどで下まで降りてくることができました。下にはキャンプ場がありました。

下山してからは、旧甲州街道に沿って東側へ3分ほど歩けば『日影』というバス停に到着します。この上には中央高速の小仏トンネルや、特急あずさが走る中央本線があります。バス停からは京王線高尾山口駅またはJR高尾駅まで戻ることができるため、往復登山をしなくてもいいルートになっています。

大人になると10代のころより目指すものが見えにくくなったりすることがあります。登山の魅力は目指すものが明確なため、下山を終えたときに大きな疲労感と一緒に達成感が溢れます。病気になる原因には、身体的要因の他に精神的要因が大きく絡んできます。精神的リスクを背負うことで人間関係や金銭、生活リズムが崩れやすくなり、回復より疲労が大きくなると身体の免疫力が低下してしまいます。それを防ぐためには普段の精神的リスクを何らかの方法で解放することが大切になってきます。登山にはそういったヒントがたくさんあるため、自分のヒントを探しに何度か登ってみてはいかかでしょうか。

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