南木曽岳①(なぎそだけ)花崗岩と梯子を越えて

8月11日は「山の日」。2018年の中部地方は太陽が雲に隠れている時間が長い日でした。また、雨雲により雷雨も発生することもあり、日本アルプスの登山を計画した登山者達を困らせたのではないでしょうか。

南木曽岳は中央アルプスの南西部に位置し、標高1679mの高さをもつ山です。南木曽岳の魅力は、隣に並ぶ中央アルプスや御嶽山を展望できるところです。

今回の登山は、木曽郡南木曽町の「尾越」というバス停から南木曽山麓蘭キャンプ場を通過する道路を利用して登山口まで登りました。

登山口には1つ目の避難小屋があります。避難小屋には登山名簿が管理され、個人情報を提出してから登山することになります。登山口付近は駐車場やトイレもあるため、十分に整った環境で焦らずにスタートを迎えられます。

トイレの向側にある門は、林野庁(中部森林管理局)が扱っているものです。木曽の林野庁は、水源かん養機能、山地災害防止機能、貴重な自然環境の保全を概要として業務に取り組んでいます。

門の手前右には「南木曽岳登山道→」という案内標示と登山道が見えますが、門を通過してそのまま登っても同じ場所で合流することになっています。ここからは「男滝・女滝」を見に行くことが出来ます。しかし、この2つの滝を見に行く場所は頂上までの通過地点とは別のルートを進むため、往復15〜20分程度を計算して頂上までのルートへ戻ってみて下さい。

最初に見えるのが「男滝(おたき)」です。男滝は橋から岩を降りていくことで水に触れることができます。

さらに奥まで進むと「女滝(めたき)」があります。どちらの滝からも冷たい水が静かな音を立てて降りてきます。

頂上までの登山道に戻りしばらく進むとベンチがありました。屋根とテーブルも設置されているため、ここでもう一度荷物を整理することができそうです。

ベンチから登山道を上の方へ進むと、すぐに砂利道へ合流しました。この砂利道は最初の避難小屋付近にあった林野庁の門からこの上までしばらく伸びています。どちらを歩いても時間の差はそれほどありませんが、往復で片方ずつ歩いてみると登山が楽しくなるかもしれません。

砂利道は歩きやすいため周囲の景色を楽しみながら進むことができます。砂や小石はコンクリートとは違い水に流されやすい特徴があります。上の写真を見ると、豪雨により坂道の砂や小石が下へ流れて地面が浸食したことが分かります。

この先には分岐点がありました。登山道の地図が大きく案内されているため、不安な人はその写真を撮っておくと安心して進めるかもしれません。

また、進行方向の案内標示もありますが、分岐点を左に選択することで南木曽岳の頂上を目指すことができます。日本アルプスをはじめ、山脈、連峰の山頂を目指す際は分岐点でのルート選択を慎重に行わなければ目的の山頂とは違った方向へ進むことになります。

分岐点で左を選択して進んでいくと砂防ダムが数カ所にわたり設置されているため、その脇を通過していきます。砂防ダムには南木曽岳の花崗岩が浸食し、細かくなった砂が上から流れてここへ溜まっていきます。山から湧き出た水は、その砂を抜けて渓流を作り出していると考えられます。

砂防ダムの手前に橋が架かった場所へたどり着くと、南木曽岳の一部分が見えてきます。この橋を左に渡ると本格的に登山道となります。

南木曽岳の親切なところは、足跡の不明確な場所でも周囲を見渡すと山頂へ向かうための赤い矢印がマーキングされています。

スタート地点から1時間でここまで来ることができました。ここは、登りルート(左)と下りルート(右)の合流地点になります。

南木曽岳の登山は、左側から頂上へ登り近隣の中央アルプスまで縦走する方法と頂上から下りルート(右)で旋回しながら降りてくる方法があります。

登山道には「蘭(あららぎ)」の方向を指す案内標示が多く設置されています。蘭は最初のスタート地点やキャンプ場付近の地名を指しています。この南木曽岳は金太郎(坂田金時)の生地という伝説が言い伝えられ、別名で金時山とも呼ばれています。神奈川県南足柄でも猪鼻ヶ嶽という日本三百名山があり、そこが金太郎の故郷という言い伝えから金時山と呼ばれている山もあります。

その金太郎(坂田金時)が生まれた場所がここでは「金時ノ洞窟」と名付けれています。

崖のようなところを降りると、上に大きな岩がありました。そこからは静かに水が流れている音がしました。

大きな岩の手前で後ろを振り返るとこんな感じです。降りる時の方が緊張するようなところでした。

岩の下へもぐりこむと、水が勢いよく湧き出てました。ここまでたくさんの汗をかいていたため、顔や手を洗って一気に蒸し暑さから解放されました。この水は、夏でも裸で浸かることができないほど冷たいものでした。

金時ノ洞窟を過ぎると岩が多くなってきます。岩と岩の間の距離が大きく開いていたり高さがある場合、そこに梯子が架かっているため速さよりも慎重さを重視して登りました。

ここを歩いていると多くの岩が一方向に崩落してきたのが分かります。そのため、地震や台風の時には岩が崩れて落下してきやすい場所だということを認識して歩かなくてはいけません。ルートの中には上の写真のように大きな岩の上を何度も歩くことがありました。

途中で喉の滝や金明水という標識がありました。下でも水場は「喉の滝」のみと案内されてありました。

行って見ると案内標示とは矛盾しているようです。残念ながら現在は滝がなくて水場は枯れている状態でした。金明水にも水場がありませんでした。

この先は、多くの場所で岩の陰に薪が置かれていました。南木曽岳は檜(ヒノキ)で有名な山でもあるため、焚き火をすると山火事をおこしてしまいます。蘭キャンプ場でも山火事を防止するために指定の場所以外で私物の火気を扱うことは厳禁となっていることを知りました。

他にも、一時的に避難できるような穴が数カ所で見ることができました。写真では小さく見えますが、近くに行くと3人ほど余裕をもって休憩できるスペースがあります。

南木曽岳は標高の数字に対して頂上までの距離に目安が着かない面白さがあります。岩が少なくなると「高野槇林」という標識がありました。

高野槇(コウヤマキ)は木曽五木のひとつとして、水に強くて朽ちにくい高級な木材として扱われています。現在では世界の中で日本と韓国にしか残っていない樹木で、平成18年9月6日に秋篠宮家ご夫妻の間に生まれた長男のお印として選ばれました。

もう少しで2時間が経過しようとしていたところで下の景色が見え始めました。スタート地点の方からはかなり離れていることが分かります。

岩がなくなると、今度は鎖を利用しながら梯子を登ることが多くなります。落下すると生還することができないようなルートになっています。

しかし、こちらの住民たちは小学生の頃にこの山を遠足や遊びで登っていた思い出をお聞きしました。

地方の人たちは都会とは違う自然の溢れた条件や、平成とは違った玩具・ゲームが進化してない条件の中で、自然を遊具にして伸びやかに成長していったことが想像できます。

スタート地点から2時間が経過したところで次の分岐点へ到着しました。両方ともこの先で合流することはできますが、左側を選ぶことで最短距離となります。しかし、命がけのルートになるため、右側を選択して安全に登る方法があります。

さて、まずは安全という右側ですが、崖沿いにこのような橋が架けられています。崖にも網が張られています。

安全とはいえ、板の隙間から下を覗くと恐くなってしまいます。両側の手摺りをしっかりと確保して慎重に進めば直ぐに向こう側へ到着します。南木曽岳の登りのクライマックスはこの場所になるため、ここへ来た人は頑張ってみてください。

もっと南木曽岳に興味をもっている方は左側の崖を登りたがるのではないでしょうか。鎖とワイヤーが上から降りています。登山のマメ知識ですが、団体で登る時、こういう場所はいちばん上手い人と次に上手い人が最初と最後に登ります。最初に登った人は、登って来るメンバーを引っ張る役目で、最後に登る人は進む方向を指示したり落下時の救助となります。

登るメンバーは小綱(約2から3mロープ)の先端にカラビナを取り付け、腰からワイヤーへ伸ばして引っ掛けます。登るメンバーは鎖を持って登ることがポイントです。小綱が命綱となり、登るメンバーの高さと並行してワイヤーに掛かりながら上がっていきます。1番目に登った人は、上がって来るメンバーがスタートする前にロープを降ろし、下で命綱とロープを繋げてもらうことで登るメンバーが落ちそうにった時に上から引っ張ることができます。ちなみに登り方はこれだけではなく複数あります。

中間で下を見るとこんな場所を登ります。ここは木が生えていないため、遠くの方からでも登っている姿が分かります。南木曽岳は中央アルプスの中でも登山ガイドが少ない山になっています。ここまでを前半の紹介として、後半は「南木曽岳②(なぎそだけ)」を見て下さい。




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